あるメーカーさん「デザイナー = 問題解決する人。人の話を聞いて、トータルに解決する。そのためには物事を3Dで見なければならない。問題を伝えられるだけでなく。問題そのものに気づくセンスが必要」と言っておられた。弊社内でも以前に、問題を発見し、提言し、人を巻き込み、共に解決への行動ができることという行動目標があることを覚えているだろうか?これこそがデザイン経営の第一歩だと今さらながら気づいたのだ。これがデザイン思考だと思う。社内に限らず、お客様のヒアリングにおいても“問題発見力”“提言”“課題と捉え解決策導く”というプロセスがデザインの基本そのものなのだ。

デザインは格好良く見せるものではなく、そのものの価値をいかに伝えるものである。格好良く見せる行為は単なる手法に過ぎない。手法から入ってはいけないのだ。目的は価値をどうやって伝え、誰に、どう行動していただけるかの枠組みをみえるカタチで表現することから始めるということなのだ。ここが一番難しく、価値のある行為だと思う。
経済産業省特許庁が2018年から取り組んでいるのが「デザイン経営」の推進なのである。デザイナーの思考や課題解決のプロセスを経営の中枢に置くことで今までにない視点でクリエイティヴに解決していくものだ。例えば、経営理念を掲げているものの社内に浸透していないケースはよくあることである。経営理念は会社の向かう方向であり、行動の指針の基になるものだ。それが社内に浸透してこそ企業としての力が集約されるはずだ。これは商品開発や営業活動、財務計画に影響してくる。一見するとデザイナーには関係のないようにみえるが、デザイナー思考こそが今の時代に必要だと経済産業省も認識しているということである。